10年後の名目国民総所得を150万円以上増やすには転職がカギ


 政府は、成長戦略の実施の結果として今後10年間で年平均3%の名目成長率を達成し、GNI名目国民総所得を1人あたり150万円増やすと意気込んでいます。国民総所得とは簡単にいうとGDP国内総生産に海外からの所得を加えたもので、現在の1人あたりの額は大雑把にみて500万円程度でしょうか。貨幣価値の変動の問題はあるものの、これを10年で150万円増やすというのは相当大きな試みであるといえます。

 

 この目標を達成するには転職の扱いがカギを握るといって差支えないでしょう。終身雇用が崩壊し、非正規雇用の拡大と就職難が常態化している現在ですが、加えて限定正社員制度や企業再編が取り沙汰されています。そして、目下のところ我が国における転職は後ろ向きのものが少なくありません。今後、一層雇用の流動化が進められることは避けられない状況ですから、転職をプラスの要素に変える必要があります。それができないようでは、国民総所得の150万円アップなど夢のまた夢ではないでしょうか。

 

 政府案では、転職への助成金の拡大が謳われており、5年間で6ヶ月以上の失業者を20%減とし、転職入職率も2桁近い9%を目標としています。勿論、それ自体良いことなのは間違いありませんが、個々の中身がランクダウンの転職となるようでは本末転倒となりかねません。

 

 ところで、GNIの増加が単純に給料アップに結び付くとは行かない点も考慮が必要で、その点については政府から企業サイドへの要請がされているようです。国民の幸福につながる成長であって欲しいものです。